この記事では、Thunderbird バージョン 5 の主要な変更点を説明します。このリリースで解決したすべてのバグの一覧は、The Rumbling Edge ブログで管理しているリストまたは MozillaZine の Thunderbird Builds のスレッド をご覧ください。開発者向けの情報は、Mozilla Developer Network の "Thunderbird 5 for developers" をご覧ください。
この一覧は Thunderbird バージョン 5 のベータ 1 に準拠しており、また今後変更される可能性があります。
このページの情報源のひとつとなった、Thunderbird 5.0 - New Features and Changes の記事を作成された MozillaZine の人々に感謝します。
主な改善点
添付ファイル
送信メッセージの添付ファイル
送信するメッセージにファイルを添付すると、ファイルのサイズを添付ファイルペインに表示します。(大きすぎる添付ファイルを送信してしまうことを防ぎます。)
受信メッセージの添付ファイル
添付ファイル付きのメッセージを受信した場合の、添付ファイルペイン (メッセージペインの下にあります) に新しい情報やメニュー項目が追加されました。
ここには添付ファイルの数や合計サイズ、また様々なメニュー項目を持つボタンがあります。添付ファイルが 1 個の場合は、添付ファイルのファイル名も表示されます。複数の添付ファイルがある場合は、添付ファイルの情報が表示されている部分の左側にある矢印ボタンをクリックすることで、それぞれのファイルの情報を見ることができます。
添付ファイルペイン右側のボタン (既定で "保存" または "すべて保存") には、以下のメニュー項目があります:
- (すべて) 開く: ファイルを開くアプリケーションの確認と選択を求められます。そして、選択したアプリケーションでファイルを開きます。
- 名前を付けて保存 / すべて保存: ファイルを保存する場所の選択を求められます。
- (すべて) 分離: ファイルを保存する場所の選択を求められます。次に、添付ファイルをメッセージから削除してよいかの確認を求められます。ファイルの情報は添付ファイルペインに表示されますが、メッセージ内にファイルの実体は存在しなくなります。しかしそれらの添付ファイルは、保存先として指定した場所に保存されています。
- (すべて) 削除: メッセージからファイルを削除します。
このドロップダウンメニューと同じ機能が メニューの にあります。
アドオンのユーザインタフェース
- アドオンのインストールや更新を行うためのユーザインターフェースが更新されました。個別のウィンドウではなく、タブで開かれます。
- Thunderbird が新しいアドオンをお薦めします (3 個以上のアドオンがインストールされている場合)。
アーカイブ
メッセージのアーカイブについては、メッセージの保管 をご覧ください。
アーカイブの設定
アカウント設定のウィンドウ ( メニューの を選択して、アカウント設定のウィンドウで を選択してください) の で、アーカイブ化したメッセージの保管方法を設定できます:
- メッセージを単独のフォルダに保管するか、月別または年別のフォルダに保管するかを設定します。
- 元のメールボックスのフォルダ構造をアーカイブにも引き継ぐかを設定します。
これらの設定変更に合わせて、ウィンドウ下部のパネルにアーカイブがどのような構造になるかが表示されます。
アーカイブの無効化
指定したアカウントのアーカイブ機能を無効にすることができます。これにより、キーボードショートカット、メッセージヘッダエリアのボタン、 メニューの も無効になります。
アーカイブ機能を無効にするには:
- アカウント設定のウィンドウを開き、左側のパネルで設定を行いたいアカウントを選択してください。( メニューの を選択して、アカウント設定のウィンドウで を選択してください。)
- を選択し、"" のチェックを外してください。
トラブルシューティング情報
メニューに、システム情報やアカウント設定を表示するための新たな項目があります。これは Thunderbird のトラブルシューティングに利用することができます。例えば、Thunderbird Support Site へ質問を投稿する場合に、質問と共にこのページに表示されている情報を送ることができます。
また、このページの情報を含むメールを作成することもできます。あなたの個人情報 (例えばメールアドレス、アカウント名、パスワード、メッセージ) がトラブルシューティング情報のページや、このページから作成したメールに含まれることはありません。しかし、接続しているサーバの名前はそのページやメールのレポートに含まれます。
細かな変更
ユーザインタフェース
メッセージの宛先
メッセージに宛先を追加するとき、既定ではアドレス入力欄が 1 つだけ有効になっています。宛先のアドレスを入力 (またはアドレス帳でアドレスを選択する) して Enter または Tab キーを押下すると、次のアドレス入力欄が有効になります。宛先の種類 ("To"、"CC" など) を変更するには、アドレス入力欄の左側にあるボタンをクリックしてください。
メッセージの表示名
Thunderbird のメッセージリストとメッセージペインの両方で、表示名がアドレス帳から使用されるようになりました (アドレス帳の各連絡先の設定と "既読と表示" の設定の両方で表示名が優先されるように設定してください)。以前のバージョンでは、メッセージの表示ウィンドウでのみ、表示名がアドレス帳から使用されていました。詳しい情報は、メッセージリストとメッセージペインにおける表示名 をご覧ください。
タブ
タブの並べ替え
タブをドラッグして移動させることが可能になりました (左端のタブを移動させることはできません)。
- メインウィンドウ内で、タブを左右方向にドラッグすると再配置できます。
- タブをメインウィンドウの外にドラッグすると新しいウィンドウで開きます (メッセージだけでなく、新しい Thunderbird のウィンドウで開かれます)。
- タブをウィンドウからウィンドウへとドラッグできます。
タブの設定
タブの並べ替え機能を補う設定項目が新たに追加されました。
- 新しいウィンドウへ移動: 選択したメッセージを別の Thunderbird のインスタンスで表示します。
- 他のタブを閉じる: 現在選択しているタブと左端のタブを除く、すべてのタブを閉じます。
- 最近閉じたタブ: 最近閉じたタブを確認したり、開き直したりします。
- タブを閉じる: 現在選択しているタブを閉じます。
自動アカウント設定
より使いやすく、機能が向上した新しいアカウント設定ウィザードを搭載しました。詳しくは、自動アカウント設定 をご覧ください。
vCard のインポート
連絡先を、人気のある vCard ファイル形式 からインポートできるようになりました。
- アドレス帳ウィンドウの メニューから を選択して「設定とデータのインポート」ウィンドウを開きます。
- アドレス帳 を選択して ボタンをクリックします。
- vCard ファイル ( *.vcf) を選択して ボタンをクリックします。
- インポートする vCard ファイルを選択し、 ボタンをクリックしてください。
トラブルシューティング
手動での更新確認
Thunderbird の自動的な更新確認を無効にした場合 ( メニューの メニューの メニューの を選択してオプションを開き、 パネルの タブ で設定できます) は、 メニューの メニューの で手動の更新確認を行うことができます。 メニューの は削除されました。
Windows 版でセーフモードのショートカットを削除
過去の Windows 版で、Thunderbird のインストーラは、Windows のメニューに Thunderbird をセーフモードで起動するためのショートカットを作成していましたが、この機能は削除されました。
アドオンを無効化して再起動
Thunderbird で問題が起こったときは、アドオンを無効化して Thunderbird を起動してみてください。( メニューから を選択します。)
問題が解決できた場合は、インストールされたいずれかのアドオンに問題がある可能性があります。
パフォーマンス
IMAP の速度向上
フォルダを切り替えた時、Thunderbird は IMAP フォルダの内容を (キャッシュをもとにして) すぐに表示し、その後、同期フラグの変更に基づいて新しいヘッダのダウンロードや更新を行います。これにより、フォルダの内容をより早く表示できます。詳しくは、Bienvenu 氏のブログ記事 "Faster switching to IMAP folders in Thunderbird trunk nightly builds" をご覧ください。
既定でフォルダの最適化が有効
初期設定で、Thunderbird はディスク領域を 20MB 以上節約できる場合にフォルダを最適化するようになりました。この設定は メニューの メニューの メニューの でオプションを開き、 パネルの タブで変更できます。
JavaScript
JavaScript エンジンの様々な改良により、ユーザインタフェースの速度が向上しました。
なぜ Thunderbird のバージョンは 3.1.x から 5 へ飛んだのか?
Thunderbird と Firefox は同一のレイアウトエンジン (コードネーム "Gecko") を基礎としています。かつては、Firefox、Thunderbird、Gecko のバージョン番号がすべて異なっていたため、人々を混乱させていました(実は、Mozilla の Web サイトで Firefox や Thunderbird のバージョンと Gecko のバージョンの対応表を掲載しています) 。このため、Firefox の開発グループの主導により Thunderbird の開発グループは、Thunderbird のバージョン番号を Gecko のバージョン番号 (現在は "5") に合わせることを決めました。
これに関連して、Firefox と Thunderbird は "スケジュール・ドリブン" 型の開発プロセスを採用しています。これは、決まったスケジュールに基づいて、より頻繁に正式版を公開することです。開発方法を定型化することにより、セキュリティ脆弱性の修正を早急に提供すること、改良の成果をいち早く提供することが容易になります。
頻繁に正式版を公開するため、Thunderbird のバージョン番号は早く増えていきます。実際、今年末にはバージョン番号が 2 桁になるでしょう。しかし、私たちのコミュニケーションではバージョン番号 (これは多少恣意的なものです) を強調しないようにして、ユーザが最新バージョンを使い続けることに抵抗を感じないようにします。
